2014.11.27
アルミ熱処理の昇温時間について
アルミニウムの熱処理は、例えば500℃で5時間保持というような設定温度があります。
その場合、500℃に到達してから5時間経過してから炉から取り出すのですが、500℃に達するまでの時間についてご質問を受けることがあります。
昇温時間は、昇温スピードと表現されることもありますが、通常は約1.5~2.5時間程度となります。
その時間が短いほうがいいのか、長いほうがいいのかと言いますと、それは製品や熱処理の目的によって異なります。
一般的に、昇温時間が短いというのは、炉内のヒーターの出力が大きく、ヒーターの表面温度が高いために炉内の空気が早く温まり、その結果として製品も早く温まるということになります。
これは、お湯をわかすときに強い火にするか弱い火にするかということと似ています。
そして、ヒーターの出力を上げれば炉内の温度も早く上昇します。
しかし、その場合はバスケットにまとめて入れている製品が、外側は早く温まって、内側にあるものは温まるのが遅くなるという状況になります。
つまり、製品の外側と内側との温度差が大きくなります。
それと比較すると、弱いヒーターで加熱をした場合には炉の中の製品の外側と内側が同じような温度で昇温してくため、あまり大きな温度差は発生しません。
つまり、昇温時間をゆっくりにした方が製品のバラツキは少なくなるということです。
ただ、そのような熱処理を行うと電気の場合は電気代が増えることと、炉の専有時間が長くなるためにコストの問題が発生します。
それらを考慮しますと、最適な昇温時間というのは冒頭で記述した通り、約1.5~2.5時間程度となります。
もちろん、大きな炉の中に小さなものを1個だけ入れる場合には、30分ぐらいで保持温度に達することもありますので、炉内への製品の投入量などで変化します。
弊社では、それらを調整しながら、適切な熱処理を行っております。
不明な点など、ございましたらいつでもお問い合わせをいただければ幸いです。
2014.11.20
アルミ熱処理後の引っ張り試験について
アルミニウムの熱処理を行う目的は色々とありますが、主なものはやはり「硬さの調整」ということになります。
「硬さ」は、引っ張り強度、切削の加工性、鍛造の加工性などに適した素材かどうかの判断に用いられます。
通常は、機械的性質は硬さと相関関係にありますので、目的の機械的性質が実現できたかどうかを知るために硬さ試験を行います。
硬さそのものが目的になるということよりも、製品の目的の機械的性質を知る代替手段としての硬さ測定ということが多くあります。
また、引っ張り試験に関しては、製品を使用する状況で試験をした結果で目的の強度が決まり、その硬さを目的としても良いのですが、実際に製品と一緒に引っ張り試験用の試験片を熱処理して、その試験結果を見て判断する方法を用いる場合もあります。
熱処理をする製品と同じアルミニウムの材料で作った試験片を一緒に熱処理することで、その試験片の試験結果の強度が製品と同等であると推測されます。
熱処理の場合は、やはり製品を直接的に破壊試験することは不可能なので、このように類推できる手段を用いて品質を確認しています。
炉の中への投入方法や熱処理の温度や時間が同じであれば、毎回そのような試験を行わなくても品質は同じであるということができるのですが、やはり毎回確認したほうが何かあったときにスムーズに対処できるようになります。
ただ、やはりそれにはコストがかかりますので、それを行うかどうかはコストを考慮した判断になります。
他にも、せん断試験、曲げ試験、圧縮試験なども同様です。
試験片を炉の中のどの位置にどのように入れるかなど、詳細な打ち合わせをすることも可能ですし、ご希望があればその通りに行うことも可能です。
アルミニウムの熱処理に関するお問い合わせは、いつでもお気軽にご連絡をいただければ幸いです。
加熱保持についてはアルミニウム以外のどのような材料についても熱処理可能ですので、それについてもお問い合わせをいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
2014.11.13
第55回品質月間
毎年11月は品質月間です。第55回というのは、日本科学技術連盟や日本規格協会などが主催している品質月間の第55回目ということです。
弊社でも旗をかかげて品質について注意を向けています。
もちろん、品質の維持と向上については毎日欠かさず考えていますが、改めて常日頃の行動について見直しをしてみようという感じです。
つまり、品質に注意を向けるというよりは、品質への取り組み方、行動のやり方についての見直しをしてみるということで、それらの検証などを行ったりしています。
アルミニウムの熱処理の場合には、キズや打コン、汚れなどの品質、温度の上昇時間や内部の温度分布、梱包のやり方や作業時間などの見直しなど、普段やっていることですが、その手順や方法についての再検討をしてみます。
また、コストダウンは品質という言葉と違うイメージかもしれませんが、会社の運営ということから考えると「経営の質の向上」に当てはまります。
その点では、作業者の意識の向上や作業性の向上など、向上の敷地内のすべてのことが当てはまります。
11月は、そうやって総点検をして、12月中に色々と整備を行って1月に新年を迎えるというパターンになると思います。
アルミ熱処理も、まだまだ奥が深いと感じますので、さらなる品質の向上を目指します。
2014.11.06
熱処理は24時間稼動をしています。
アルミニウムの熱処理は、だいたい炉の中に6~10時間ほど入れて加熱しています。弊社はバッチ式の熱処理炉を使用しているため、連続炉と違って熱処理が終わって取り出す時間の間隔は長くなります。
ただ、工場の中に熱処理炉が11台ありますので、作業としては常に製品の出し入れがあります。
そのような理由もあって、工場は24時間稼動となっています。
日曜日も熱処理炉への製品の出し入れを行っていますので、基本的に毎日の作業になります。
炉を冷ましたり温めたりするよりも連続で使う方が効率もよくコストダウンにもつながります。
お急ぎの熱処理がある場合には、ご連絡をいただければスケジュールを調整して極力早く仕上がるようにいたしますので、納期のご相談もお気軽にお問い合わせ願います。
また、納品の時間についてもご希望がございましたらお伝えいただければ、極力ご希望に沿うように調整をするようにいたします。
小さな製品を1個だけ急ぎで熱処理をしてほしい、というご要望にもお答えできるような体制でお待ちしております。
アルミ熱処理に関する技術的なご質問にもお答えしておりますので、弊社への注文の有無に関わらず、お問い合わせはお気軽にしていただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。