2018.12.05
硬さ測定で注意する点について
アルミニウムの熱処理では、見た目では熱処理されているかどうかは判断が難しいと思います。
T6の場合には硬さが増加しますので、叩いた音で判断する人を見たことがありますが、普通の人には出来ない技だと思います。ひとつの製品を叩き比べることを続ければ可能かもしれません。
それでもやはり、「製品の出来栄え」に関しては数値化できるものは数値化して管理した方が良いと思いますので、硬さについても測定値で合否判定を行い、それを記録していきます。
硬さ測定で注意する点は、
(1)いつも同じ場所を測定する。
製品の場所によるバラツキは少ないと思いますが、やはり常に同じ場所を測定することで変化に気づきやすくなる可能性があります。また、手順としても作業者の判断が減るのでやりやすくなります。
それと、硬さ測定を行ったかどうかを確認するときにも測定跡を発見しやすくなるという利点があります。
(2)冷めてから測定する。
T6の場合、時効硬化処理が終われば熱処理は終了ですが、炉から出た直後はまだ温度が高く、測定したときには少し柔らかめな数値が出ることがあります。
そのため、「素手で触れる温度」で測定するようにしています。これは個人差があるのですが、45℃以上のものを触れる人は少ないと思いますので、わかりやすい基準になります。また、それぐらいの温度であれば測定誤差は発生していません。
(3)厚みが重要。
薄い製品ですと、正確に測定できません。お客様との打ち合わせで、規定の温度で熱処理を行っていれば測定しないで良いという場合もありますし、同じ材質のテストピースを一緒に熱処理して測定する場合もあります。
いずれにしても、ブリネル式とロックウェル式の両方共厚みは1センチ以上あると数値が安定します。
(4)定期的に校正を行う。
やはり測定された数値が正確かどうかが保証されないといけませんので、メーカーに校正を依頼して記録も保管しています。それと、社内でも日常点検や週次点検を行い、機器の保守をしています。
以上になります。他にもポイントがあると思いますが、主にこのような点が重要事項となります。
アルミ熱処理に関してのお問い合わせはいつでもお受けいたしておりますので、よろしくお願いいたします。