2021.03.03
安定化処理について
アルミニウムの熱処理と鉄の熱処理は用語が同じでも内容が少し違う場合があります。
「寸法安定化」という事では同じですが、組織の内容や温度条件なども異なります。
「寸法安定化」というのは、いわゆる「経年変化」や「経年変形」と言われるものを防ぐ目的で行われます。
アルミニウムを鋳造するときには、高温で注湯して型に流し込みます。そして冷えて固まります。
その過程で分子レベルで不揃いのまま固まってしまうため、少しずつ移動して安定した位置に収まろうとします。
そのため、形が少し変形します。それは時間をかけてゆっくりと変化していきます。
精度の高い切削加工を行った後に変形すると寸法が狂ってしまいます。
それを防ぐために、先に変形をさせてしまうのが安定化処理です。
具体的には、例えば200℃ぐらいに加熱して保持することで分子レベルで整列していきます。温めると動きやすくなるようです。
その後に加工をすると寸法はそのまま維持出来ます。精度の高いアルミニウム製品を製作するときにはよく行われる熱処理方法です。
呼び名としては「アニール処理」や「焼きなまし」と言われることもあります。「焼きなまし」は「焼鈍(しょうどん)」で、この場合には素材を柔らかくする熱処理になりますので、注意が必要です。
「焼きなまし」の処理のご依頼があったときには、硬さをそのままにして歪みを取り除くのか、あるいは素材を柔らかくするのかを確認させていただいています。処理温度が異なります。
確かに焼きなましをすると素材が安定しますので、安定化処理と呼ぶことも出来ます。
弊社ではアルミニウム合金全般に関する色々な熱処理を行っていますので、何かご質問等がございましたらいつでもご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。