2021.03.24
5000系の熱処理について
最近、5000系の熱処理のお問い合わせが増えてきました。
5000系はA5052のご依頼が多いようです。
5000系は展伸材の中の「非熱処理型合金」と呼ばれ、強度を増すためのT4やT6、T7を行っても強度が増すことはありません。
一般的には冷間加工のままでは経年変化を起こす場合があるので安定化処理を行うことがあります。
「非熱処理合金」と言われますが、安定化処理や焼鈍(しょうどん、=焼なまし)のように材料を加熱して目的の素材にするような熱処理は行われます。
Mg(マグネシウム)の添加量によって使用用途が違ってきますが、経年変化を避けたい場合や材料を柔らかくしたい場合には加熱することで目的の状態にすることが出来ます。
ちなみに、歪取りや安定化処理と呼ばれる熱処理は硬さの低下はありませんが、焼鈍の場合には硬さが低下します。
曲げ加工をしたり圧延する前などにアルミニウム合金を柔らかくしておくために熱処理をする場合があります。
アルミニウム全般について、何かご質問等がございましたら、いつでもお気軽にご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2021.03.17
アルミニウム熱処理のお問合せについて
お陰様でここのところ、アルミニウム熱処理のお問合せが増えております。
1個か2個でも熱処理してもらえるのか
試作だけお願い出来るか
大きな製品だけど熱処理してもらえるか
製品が曲がってしまったので、矯正だけしてもらえるかなどです。
弊社には、製品1個からでも熱処理が出来る小丸炉から、大きな製品が熱処理が出来る大型炉がありますので、製品のサイズや数量によって対応させていただいております。
他社で熱処理をされていたり、自社で熱処理をおこなっている場合でもご質問やお問合せもあります。
温度条件の見直しのご相談や、矯正作業についてのご相談などいつでもお受けしております。
作業の立ち会いや工場見学なども大歓迎です。
アルミニウム熱処理についてのご相談やご質問がございましたら、いつでもお気軽にご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2021.03.10
大型炉について
お客様から「どのくらいの大きさまで熱処理が可能ですか」「大型炉ではどの熱処理ができますか」とお問合せをいただくことがあります。
大型炉は弊社の一番大きな炉です。大型炉の有効寸法は、W2,000mm☓H1,500mm☓L3,500mmになります。焼鈍・T4・T5・T6処理が可能です。焼鈍・T5処理は、製品の形状にもよりますが約2.5tの熱処理が可能です。T4・T6処理は、専用の治具に製品を載せて熱処理を行います。クレーンを使用しますので、製品の形状にもよりますが約2tまでの熱処理が可能です。
先日、大きな製品の歪みとりのご依頼をいただきました。板状の製品でしたが内部に溝があるためハンマーなどでの矯正はしないで熱処理で歪みをとってほしい。との事でした。ハンマーなどでの矯正作業が出来ないため、製品を治具と治具で挟み熱処理を行いました。治具の重量など今までのノウハウを活かしお客様に提案をし、歪みを取ることができました。その製品を継続して熱処理をさせていただく事になりました。
大型炉は弊社にある他の炉より使用頻度は低めですが、連続で使用する時もありますので早めにご連絡をいただければ幸いです。大きな製品の熱処理のご相談などございましたいつでもご連絡をいただければ幸いです。宜しくお願い致します。
2021.03.03
安定化処理について
アルミニウムの熱処理と鉄の熱処理は用語が同じでも内容が少し違う場合があります。
「寸法安定化」という事では同じですが、組織の内容や温度条件なども異なります。
「寸法安定化」というのは、いわゆる「経年変化」や「経年変形」と言われるものを防ぐ目的で行われます。
アルミニウムを鋳造するときには、高温で注湯して型に流し込みます。そして冷えて固まります。
その過程で分子レベルで不揃いのまま固まってしまうため、少しずつ移動して安定した位置に収まろうとします。
そのため、形が少し変形します。それは時間をかけてゆっくりと変化していきます。
精度の高い切削加工を行った後に変形すると寸法が狂ってしまいます。
それを防ぐために、先に変形をさせてしまうのが安定化処理です。
具体的には、例えば200℃ぐらいに加熱して保持することで分子レベルで整列していきます。温めると動きやすくなるようです。
その後に加工をすると寸法はそのまま維持出来ます。精度の高いアルミニウム製品を製作するときにはよく行われる熱処理方法です。
呼び名としては「アニール処理」や「焼きなまし」と言われることもあります。「焼きなまし」は「焼鈍(しょうどん)」で、この場合には素材を柔らかくする熱処理になりますので、注意が必要です。
「焼きなまし」の処理のご依頼があったときには、硬さをそのままにして歪みを取り除くのか、あるいは素材を柔らかくするのかを確認させていただいています。処理温度が異なります。
確かに焼きなましをすると素材が安定しますので、安定化処理と呼ぶことも出来ます。
弊社ではアルミニウム合金全般に関する色々な熱処理を行っていますので、何かご質問等がございましたらいつでもご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
2021.02.24
T6処理における、製品の変形について
アルミニウムの熱処理で、溶体化処理の後に変形することがあります。
表題はT6としましたが、高温から急冷するT4とT6の場合に目に見える形で変形することがあります。
「歪取り」と言われるアニール処理やT5処理、安定化処理なども変形が起こりますが、それは目で見てもわからないレベルです。
T4やT6で変形するのは材質や形状によって変わります。
2000系、6000系、7000系は変形は少ないのですが、板状の場合で特に大きさに対して厚みが薄いと変形します。
鉄の板で治具を作ってサンドイッチ状にして熱処理をした場合でも、治具を外すと変形します。
加熱中に変形する場合もありますが、主に急冷するときに変形しています。
冷却スピードを遅くすると硬さが低くなりますので、薄い板の熱処理は色々と工夫が必要です。
AC4Cなどの鋳物の場合は、例えば丸いタイヤのような形状の製品は円形が楕円になったりします。
うまく「つっかえ棒」のようなものを入れて熱処理をしたり、急冷後に矯正作業を行って元に戻したりします。
色々な形状で、それぞれ特性が変わってきますので、場合によっては1個だけ先にトライさせていただくようにお願いさせていただくこともあります。
熱処理後の加工の程度によって多少の変形は大丈夫なときもありますが、最近は「加工しろ」が少ない製品が増えています。
アルミニウムの熱処理に関してのご質問も随時受けていますので、お気軽にご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

