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アルミ熱処理における製品の変形について

2013.07.25
アルミ熱処理における製品の変形について

アルミニウムの熱処理を行うときに、変形することがあります。

それは、同じ材質でも形状の違いによって変形の程度は異なります。

例えば、ご飯のお茶碗のような形の場合、丸い形が楕円になったりします。また、棒やパイプ形状の場合は曲がることがあります。

見た目では変形がわからないものから、パッと見ただけで変形しているとわかるものもあります。

弊社では、熱処理を行うときに事前に変形について確認をさせていただく場合があります。

変形を防止する方法はいくつかあって、場合によっては一般的なアルミ熱処理の規格と異なる方法を行うこともあります。それらは、すべて事前にご相談をさせていただきます。

鋳物の場合には、溶体化処理で水冷した直後にハンマーで叩いて矯正をして寸法を出すことも行います。

変形の原因は主に2種類で、高温で熱処理しているときに製品に荷重がかかった場合と、水冷するときの変形です。

温度がだいたい510℃を超えてきますと炉の中で製品が柔らかくなってきますので、そのときに製品を積み重ねた状態になっていると重さで変形する場合があります。

また、高温から水で急冷するときにも変形する場合があります。

変形の対策も色々とノウハウがありますので、ぜひご相談をいただければと思います。

よろしくお願いいたします。

2013.07.18
歪(ひずみ)取りと応力除去について

金属熱処理では、「応力除去焼鈍(おうりょくじょきょ しょうどん)」や「歪み取り焼鈍(ひずみとりしょうどん)」という言葉が一般的に使われますが、アルミニウムの熱処理の場合は、それだけだとどのような熱処理かハッキリしない場合があります。

「焼鈍(しょうどん)」は「焼きなまし」とも言われ、硬さが柔らかくなります。そのときに応力も除去されるので、歪取りという表現も可能です。

しかし、「応力除去」や「歪取り」だけを目的とした場合、硬さが変わらずに応力除去を行う熱処理もあります。それはアルミ熱処理では「T5」と言われていますが、「アニール処理」と呼ばれることもあります。「アニール処理」を焼きなましという意味で使用する場合もあるので注意は必要です。

また、「T5」は本来は「人工時効硬化処理」ですので、その名前の通り「硬化」する場合もあります。ただ、ほとんど硬くなることは無く、硬くなったとしても少しだけです。鋳造したときに急冷に近い工程だった場合に、その程度によって硬くなる場合があるようです。

アルミニウムの熱処理の場合、応力除去が目的であれば200℃~300℃程度、焼なましが目的であれば345℃~415℃ぐらいの温度で熱処理をします。材質や形状、1回の熱処理量によって温度や炉の保持時間の設定が変わってきます。

そして、「歪み取り」として、熱処理だけでなく直接ハンマーで叩いて矯正する製品もあります。それは、内部応力ではなく外形の寸法としての歪みを矯正する方法です。それはT6、T5、T4などの熱処理をするときに必要に応じて行います。

その場合は、寸法や叩く場所などを事前にご相談させていただいています。

弊社はアルミニウムの熱処理の専門メーカーですので、ご不明な点などありましたらいつでもご連絡をいただければと思います。

よろしくお願いいたします。

2013.07.11
アルミ熱処理の硬さ測定の製品温度について

アルミニウムの熱処理を行った後、通常は硬さの試験を行います。一部、硬さ測定を行わない製品もありますが、通常は弊社で硬さ試験を行い、その成績データを添付して納品させていただいています。

その硬さ試験ですが、朝に持ち込んで夕方に受け取りたいという場合などに取りに来ていただくこともありますが、製品(ワーク)の温度が十分に冷めないと正確な硬さ測定が出来ませんので、お待ちいただく場合があります。

「JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験-試験方法」によりますと、

「7.1 試験は通常、周囲温度10~35℃の範囲内で行う。管理条件下で行う試験の場合は、23±5℃の温度で行う。」

とあります。ここでは、製品自体の温度の規定はありません。ただ、試験報告書のところにこのような記述があります。

「9 c) 試験温度(10~35℃以外の場合)」

ここではどの温度についてかは記述されていません。通常は、周囲温度の範囲と製品の温度はほぼ同じようなものと考えて良いと思います。実際、温度が高いときには柔らかめの測定結果になります。

ロックウェル試験の場合は、「JIS Z 2245」で規定されています。

「7.1 一般に、試験温度は10~35℃の範囲内とする。試験結果は、温度によって影響を受けるため、ロックウェル硬さ試験の使用者は、更に狭い範囲の温度管理を選択してもよい。」

となっています。更に、注記として

「試験材料の温度及び試験機の温度が、試験結果に影響する場合がある。使用者は、試験温度を試験結果に影響を及ぼさないように試験温度範囲を設定することが望ましい。」

とあります。硬さ試験を行う場合には、試験の温度についても注意を払う必要があります。

弊社は、アルミニウムの熱処理についての御質問等も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせをいただければと思います。

2013.07.04
硬さの測定場所と測定数について

弊社のアルミニウム熱処理はバッチ式の電気炉を使用しております。バッチ式というのは、1台の炉の中に製品を入れて加熱が終わると取り出して次の製品を入れるようなやり方です。連続炉はベルトコンベアーで製品が流れていく方式です。1台の炉の中に入る数量は容積一杯のときもあれば少量のときもあります。

バッチ式の場合、熱処理の合否判定のための硬さ測定を行う製品は、ランダムで取り出すよりも取り出し場所を決めておく方が熱処理不良の発見を目的とする場合には確実です。

炉内の温度分布などから昇温の遅い場所がわかりますので、1番温度条件の良くない場所から取り出すことで、その場所の硬さがわかれば、他の場所はそれ以上の硬さになっていると予想できます。もちろん、第一回目の熱処理では他の場所から取り出して実際に硬さを測定して硬さの分布を確かめておく必要があります。

この方法は、硬さの規格が例えば「HB80以上」という場合に有効な考え方です。

硬さの範囲が「HB76~100」の場合は硬すぎてもNGですので、そのときも硬さを測定する製品の取り出し場所を考えます。それらは製品の形状や詰め方によって変わってきます。弊社はアルミニウムの熱処理専門で行なっていますので、それについてのノウハウも蓄積しております。

そして、硬さの測定数ですが、最初に製品の詰め方と温度の設定を数回の実験で行なって、そのときに硬さの分布も調べておいた場合、極端な話ですと熱処理の設定さえきちんとしておけば量産のときに合否判定のための硬さの測定は不要です。その理由は、「100%成功する熱処理方法」を事前に調査して熱処理方法を決定しているからです。

しかし、やはり何が起こるかわかりませんし、材質の問題や測定機器のエラーの問題、そして硬さの傾向管理という点から考慮しても硬さ測定は最低でも1個は行うべきです。

お客様によっては炉の中からランダムで取り出して100個に1個ぐらいの割合で測定して欲しいという要望を受けるときもあります。場合によっては1回の熱処理で30~90個の測定を行う場合もあります。一応、そのような場合には別途で御見積を提出させていただきますが、しばらくそれを続けているうちに測定数は10分の1以下になりますが、いつも同じ結果になっていることを確認されてから測定数を減らすという選択も良いと思います。

熱処理の硬さ試験についての問い合わせ等はいつでもお受けしておりますので、よろしくお願いいたします。