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硬さと温度

2015.07.01
硬さと温度

今回は、以下の書籍からの抜粋です。

「硬さのおはなし」

日本規格協会 岩崎昌三 寺澤正男 共著

ここから引用—————————————–

なぜ軟らかくなるかということになりますと、(中略)原子核の回りを電子が回っていますが、温度を上げると原子に熱エネルギーを与えることになり、原子の回転半径が大きくなります。その結果、お互いの結合力も弱まりがちになりますし、隙間も大きくなりますので、外力に対する抵抗力も弱まりますから、硬さを測定すると低下します。

ここまで———————————————–

アルミニウムの熱処理において、強度を増すために行うT4、T6、T7の処理が終わった直後は、まだ製品が熱くなっています。

そのときに硬さの測定をした場合、冷却後に再び測定した数値よりも軟らかくなります。

T4の場合には室温にて時効硬化が進みますので、温度が下がったからといってすぐに硬さの測定をしても数時間後に測定すると測定値が違うということもありますが、その場合でもやはり、製品が熱いときに測定すると柔らかい数値となります。

そして、例えば硬さの規格がHBで70以上で上限が無い場合に、熱い時に測定して70以上の数値であれば、それよりも軟らかくなることは無いので合格品ということになります。

ただし、毎回の測定結果のデータを取る場合には、炉から出て何分後と決めるか、あるいはもっと正確に測定するときの製品の温度について規定を作った方が良いことになります。

弊社の場合には、硬さ測定を急ぐときにはワークを別の場所で扇風機で冷まして硬さを測定することがあります。基本的には40℃以下です。

これについては、お客様とご相談をして行います。弊社では基本的に常温に近いところまで冷めてから硬さ測定を行います。

温度が高い時に硬さを測定するのは、大抵は納期が間に合わない場合で、製品の温度が高いと硬さの測定結果が高めに出るということについてご説明をさせていただくこともあります。

硬さ測定のタイミングや測定場所等は、基本的にはお客様に決めていただきますが、「おまかせで」というご依頼の場合には弊社で最適な方法で行います。

アルミニウムの熱処理についてのご質問は、どんなことでもお気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。