2015.08.19
焼入れから焼戻しまでの時間について
鋼の熱処理の場合は、焼入れから焼戻しまでの時間が長いと変態による応力や熱応力によって変形や割れが起こることがあります。
焼戻し時間が遅延して「置き割れ」が生じることもありますので注意が必要ですが、アルミニウムの熱処理の場合には起こりません。
鋼の熱処理とアルミニウムの熱処理は、高温から急冷するというプロセスは同じですが、内部に起こっている変化はまったく違います。
アルミニウムの熱処理の場合、焼入れからある程度の時間が経過してから焼戻し(時効硬化処理)を行っても問題はありません。
焼き入れの時の水冷で水に濡れて腐食の心配もありますが、水冷でも40~50℃ですので、すぐに乾いてしまいます。
一応、弊社の規格では「4時間以内」としておりますが、それ以上の時間でも特に問題はありません。一定の品質を保つための基準という意味合いもあります。
大型炉を除いて溶体化処理炉と時効硬化処理の炉は別々ですので、通常は焼入れ後にすぐに次の工程に進みますので、特に意識はしなくても基準を満たすことになります。
T4の熱処理の場合には、急冷後に室温で放置という規格ですので、その場合には水冷後にそのままの状態で置いておくことになります。
アルミ熱処理の場合には焼き入れから焼戻しまでの時間は特に問題にはなりませんが、お客様によっては「◯時間以内に行うこと。」という基準を作る場合もあります。
それらについては、打ち合わせをさせていただきながら決めていきます。
アルミニウムの熱処理についてのご質問等もいつでも受けておりますので、お気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。