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T4とT6は、どう違う?

2025.10.08
T4とT6は、どう違う?

アルミニウムの熱処理を行うときに「質別記号」というものを使います。

それは「どのような熱処理を行ったか」が判断できるようにという目的で作られています。

その中でT4とT6という処理があり、高温から急冷したあとに時効させるという点では似ているのですが、実際にはどのように違うのかについて解説します。

T4は溶体化処理の後に自然時効させます。

T6は溶体化処理の後に人工時効硬化処理を行います。

自然時効というのは、大気中でそのまま時効させることで、実際には24時間ぐらい放置しておけば大丈夫です。硬さはだんだんと硬くなっていきます。

それに対して人工時効硬化処理というのは約200℃ぐらいに加熱をして時効を促進させる方法です。これは炉に入れてから7~8時間程度の時間で完成します。

T4は主に2000系や6000系の合金でよく行う熱処理方法です。

人工時効硬化処理の方が硬さはアップしますが、製品の目的によってT4かT6を選択することになります。

出荷検査を行うときには、T4の場合は24時間以上が経過しないと正確な数値が出ませんので、納期はT6よりも長くかかります。

もし、もっと早く出荷して欲しいという要望があった場合には、硬さ測定をお客様の会社でお願いするか、あるいは暫定的に測定して「参考値」として硬さの測定データを提出することもあります。

お客様の要望によって、色々な対応が出来ますので、何かあればご相談させていただければと思います。

アルミニウムの熱処理に関するご質問等はいつでもお受けしておりますので、お気軽にご連絡をいただければ幸いです。

よろしくお願い致します。

(記事作成:森)

2025.10.01
熱処理作業成績表について

弊社では、ご希望に応じて各種のアルミ熱処理作業データを作成しお渡ししております。

何時、どのような温度と時間で熱処理をおこなったか、そして硬さはどのくらいになったかを記入しております。

場合によっては、熱処理の温度と時間を記録したチャート紙の原本やコピーしたものを提出しています。

また、熱処理作業時に使用した「熱処理管理シート」のコピーを提出することも可能です。

弊社での保管・管理が不要な場合には原本をお渡ししております。

熱処理管理シートとは、入荷から出荷までの作業工程の日時と作業者がわかるようになっているものです。

そして、硬さ測定については測定数を増やしてデータを分析することもできます。

どのような熱処理をしたかという記録の提出、更に硬さや実体温度(製品の温度)などのデータを追加することもできます。

アルミニウム熱処理について、ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

宜しくお願い致します。

(記事作成 横田)

2025.09.24
加工前と加工後の熱処理について

アルミニウムの熱処理は、製品を作る工程の中の一部になります。

熱処理のタイミングは、前工程と後工程によって異なります。

先日、お客様から「加工が終わった製品に熱処理をするのと加工前の素材に熱処理をする2種類あるかと思いますが、

他社様はどちらが多いですか?」とご質問をいただきました。

弊社では、ほぼ加工前の製品や素材を熱処理させていただいております。多くのお客様は熱処理後に加工を行ってらっしゃいます。

熱処理の種類によって異なりますが、T6熱処理の場合、溶体化処理の水冷却時に製品は柔らかくなっている為、加工後の製品ではキズやダコンなどが発生しやすくなってしまうので、キズやダコン防止の対策が必要になります。

熱処理工程の中で加工と言うと主に矯正作業などがあります。

弊社では、T6熱処理の場合、溶体化処理後の水冷直後にハンマーなどを使い、矯正作業を行い、製品が硬くなる前(4時間くらい)に矯正作業を終らせております。

T5熱処理の場合は、熱処理前に矯正作業を行ってもいいように思いますが、熱処理前に矯正作業を行ってしまうと応力除去の関係で寸法が変化してしまう場合がございますので熱処理後に矯正作業を行っております。

加工前でも加工後でも熱処理は可能ですので、ご相談などございましたらいつでもご連絡をいただければ幸いです。宜しくお願い致します。

(記事作成 堀越)

2025.09.17
アルミニウムの腐食について

先日、アルミニウムの腐食についてのご質問をいただきました。

「錆びた鉄と触れた状態だとサビが移るか?」

ということです。

結論から言いますと、鉄のサビがくっつくことはありますが、それによってアルミが鉄のように錆びることはありません。

アルミニウムの場合は大気中で酸素に触れると酸化しますが、そのときに不動態皮膜という無色透明の膜が張られるので、鉄や銅のような色にはなりません。

ただ、表面に鉄のサビが付着すると汚れとして表面に付いて取れにくくなったりします。

たとえば2000系や6000系の合金で表面がバフがけされているようなツルツルの面になっていると汚れは付きにくく落ちやすくなります。

また、鋳造品などは表面が凸凹でガスによる気泡があるので汚れが付きやすく取れにくい場合があります。

アルミ鋳物を屋外に出しておいて雨に濡れると黒くなりますが、あれはサビではなくて汚れになります。汚れは表面から中に入っていくので落ちにくくなります。

弊社では、アルミニウムは屋外に保管せずに屋内保管にしています。一時的にトラックからの積み下ろしで屋外に置くことはありますが、雨の日はシートやビニール袋をかけてトラックへの積み下ろしを行います。

お客さま次第ですが、小雨のときに小さな製品をお客さまの乗用車に手積みすることはあります。

それと、海水や酸、アルカリに長時間触れていると酸化被膜が壊れて腐食することがあります。アルミの表面に白い粉のようなものが付いた感じになったりします。

いずれにせよ、アルミニウムは切断したときでも瞬間的に酸化被膜が付きますので、耐食性が高い性質を持っています。

アルミニウムの熱処理に関するご質問はいつでも無料で受け付けていますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

(記事作成:森)

 

2025.09.10
製品や材料の切断について

アルミニウムの熱処理をおこなった後で、検査(硬さの測定)が形状的に困難な場合や、製品内部の硬さを測定したいときには、製品の切断をする場合があります。

弊社では主にバンドソーを使用し切断をおこなっていて、お客様の要望があれば材料の切断も可能です。

また、鋳物製品では熱処理をする前に湯口の切断を依頼されることもあります。

湯口の切断などは、バンドソーで切断した後に、ディスクグラインダーによる仕上げ作業も依頼されることもあります。

一般的には、湯口を切断した製品を熱処理し、その後に切削加工をする工程となりますが、弊社で行うこともあります。

また、正確な硬さを測定する為に硬さ試験機に入らない製品や、断面の硬さを測定する為に切断が必要となります。

その時には、製品を1~2個使用不能にしてしまう為、お客様とご相談し測定方法についてご提案させていただいております。

アルミニウムの熱処理についてご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

(記事作成 横田)